人工太陽照明灯が車載カメラ(赤外線センサ)の性能評価や自動運転技術の向上に採用される理由

車載カメラや赤外線センサの反応試験、自動運転技術の向上に人工太陽照明灯がどのように貢献しているのか?

自動車の自動運転技術は格段の進歩を遂げています。高精度のGPS、情報通信の高速化(5G、6G、それ以上の高速化技術)などの情報環境インフラ整備が進んできたことも要因の一つですが、車載のカメラやセンサの技術向上も大きく寄与しています。その中で自動運転に欠かせない技術に、周辺情報の正確な把握があります。LiDAR、レーダー、超音波などのセンサは物体の存在を知る手段ですが、物体が何であるかはカメラで把握することになります。

今の車には、様々な箇所にセンサやカメラが搭載されています。例えば、あるメーカーのレベル3の自動運転車では、完全自動運転(レベル5)ではないのでLiDARは採用されていませんが、それでも4個の360°カメラと1個の赤外線カメラが搭載されています。この車の周辺情報収集は、まずカメラでどこに何があるかを把握し、センサでその物体(人、他車、樹木や建物、障害物など)との距離を測る、というプロセスを高速処理します。カメラはドライバーの目に相当しますが、人間は1点に集中するとそこしか認識できません。例えば55インチのテレビで、2mの距離で映画を見るとします。このときの画面の端から端までの視野角は横約17度、縦約10度です。字幕を読んでいるとき、字幕以外の画面内のできごとは、良く把握できません。因みに人間の視野角は、水平方向に約200度、垂直方向に約125度、迅速に安定して見える安定注視野は水平に60~90度、垂直に45~70度程度、1点を注視する範囲の中心視野は1~2度と言われています。

車の運転時も同じです。ドアミラーに集中してしまうと、前方や後方の状況はその瞬間把握できないことになります。自動運転では全方位を同時に把握することができるので、事故の確率を極めて低くすることができます(もちろん事故ゼロが目標です)。

車載カメラにとって日なたと日かげを認識できるソフトウェアの精度向上は必須です 

カメラに映った物体の認識は、ディープラーニングの手法を使ったAIが担います。それはソフトの領域なのですが、カメラに映る画角の中には大きな輝度差が生じることが多くあります。つまり、ひなたと日陰が混在する状態です。

明るい部分にシャッタースピードが合ってしまうと、日陰部分は真っ黒になってしまい何も映らないように見えます。これを“黒つぶれ”と言います。逆に日陰にシャッタースピードが合ってしまうと、ひなた部分は真っ白になってしまいます。これを“白飛び”と言います。このような状態になってしまうと、自動車側は物体を認識できません。少し以前になりますが、車がバックする際のバックモニターが黒つぶれの状態になっていて、そこに小さなお子さんが遊んでいたことをドライバーは気づかずにぶつかってしまった、という事故を聞いたことがあります。このような事故を防ぐ意味でも、また自動運転あるいはADASでも、ひなたと日陰が混在する状態で白飛び部分は減衰させ、黒つぶれ部分は増幅させて物体を認識できるようなソフトウェアが搭載されます。そのソフトウェア開発に欠かせないのが人工太陽照明灯です。

人工太陽照明灯なら24時間365日室内でも日なたと日かげを人工的に作り出すことができるのでソフト開発や評価のスピードアップや精度向上に役立っています

車載カメラ 人工太陽照明灯

上のイラストは、カメラの画角内にひなたと日陰が混在する状態を人工的に作り出した例です。ひなたと日陰部分に物を置き、撮影した画像のコントラストを小さくするソフトの開発に、人工太陽照明灯が使われます。

このような光環境下での車載カメラの評価、ソフトウェアの定量的な評価をしたい、というご要望には、人工太陽照明灯XC-500AFSSが最適です。

仕様・性能については下記ページをご覧ください。

1sun(1000W/m2)や100000Lxを照射できる人工太陽照明灯集光タイプ(スーパースポット形)

安定した環境で車載カメラの性能評価や画像処理ソフト開発をしたい、とお考えでしたら、ぜひ、経験豊富な弊社へお気軽にお問合せ下さい。お客様のご要望に合った装置をご提案致します。