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色が違って見える原因とは?分光分布による色の違いをわかりやすく解説!

色が違って見える原因とは?分光分布による色の違いをわかりやすく解説!

思っていた色と違う原因は?

みなさんは「思っていた色と違った」という経験はありますか?具体的には、スーパーで美味しそうな食材を見つけて手に取ってみたら思ったよりくすんで見えた経験、家で良い感じのメイクをしたのに家を出て鏡を見ると思ったより薄い・濃いメイクだった経験などが挙げられます。これらの原因の一つは、物体を照らす光によって色の見え方が変わることです。そこで本記事では、光による色の見え方の違いを解説していきます。

光源による色の見え方の違い

まずは光源ごとの発色を実際に比較してみましょう。

上記の画像はColal Pinkのドレープを①自然太陽光、②人工太陽照明灯、③LED人工太陽照明灯、④一般蛍光灯でそれぞれ照らした際の色を撮影したものです。②人工太陽照明灯もしくは③LED人工太陽照明灯で照らされた色は、①自然太陽光で照らされた色に近くなっています。一方、④一般蛍光灯で照らされた色はオレンジ色に近く、異なった色の見え方をしていますね。この発色の違いについて、分光分布 をもとに解説していきます。

各光源による反射光の分光特性

①自然太陽光でCoral Pinkのドレープを照らした際の分光分布
①自然太陽光

②人工太陽照明灯でCoral Pinkのドレープを照らした際の分光分布
②人工太陽照明灯

上記のグラフは、Colal Pinkのドレープに各種光源を当てた際、反射光の分光特性(分光反射特性)を示したものです。ご覧の通り、自然太陽光と人工太陽照明灯は、反射光の分光特性が酷似していることが分かります。

①自然太陽光でCoral Pinkのドレープを照らした際の分光分布
①自然太陽光

③一般蛍光灯でCoral Pinkのドレープを照らした際の分光分布
③一般蛍光灯

一方で、一般蛍光灯と自然太陽光の分光特性を比較してみると、分光分布が大きく異なることが分かると思います。つまり、この分光分布の違いが、色の見え方の違いとなって表れているということになります。

分光分布とは?

分光分布とは、波長毎のエネルギー比率をグラフに表したものです。

光には様々な波長が含まれており、その割合によって色の見え方が異なります。例えば、青色の波長が突出して多く含まれている光源は全体的に青色の光に見え、波長がほぼ全て均一に含まれていれば光であれば、全体的に白色に見えるといった具合です。

物体の色の見え方は光の吸収と反射率に影響される

参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/43/2/43_KJ00003518162/_article/-char/ja/

物体に光が当たると、物体は特定の波長の光を吸収し、吸収しなかった光を反射します。このとき、吸収される色に対して、吸収されず反射された色(色相環での吸収された波長の色の位置と中心を経て反対側の色)を”補色”といいます。

そして、反射された光(補色)の割合(比率)によって、物体がどのように見えるのかが決まるというわけです。例えば、ピンク色の布Aは光源の波長のうち緑色の光をよく吸収し、補色であるピンク色の光を反射します。一方で、緑色の布Bは光源の波長のうち赤紫の光をよく吸収し、補色である緑色の光を反射します。

つまり、同じ照明下であっても、ピンク色の布Aはピンク色の光を多く反射し、緑色の布Bは緑色の光を多く反射するといったように、物体が反射する色は物体の性質によって異なるため、同じ照明下でも色が異なって見えるということになります。

同じ照明を使っても物体が異なれば、色が異なって見える

光の分光分布によって、色の見え方は異なる

また、同じ物体であっても、照明が異なると色の見え方は異なります。これは、冒頭示した通り、物体から発せられる反射光の分光特性が異なるからです。では、なぜ反射光の分光特性が異なるかというと、各種光源の分光分布が異なるからです。

①自然太陽光の分光分布
①自然太陽光(2016年6月2日14:00頃晴天時測定)

②人工太陽照明灯の分光分布
②人工太陽照明灯

③一般LEDの分光分布
③一般LED

④高演色性蛍光灯の分光分布
④高演色性蛍光灯

※測定器
ひだまりミニ S-2440(相馬光学)
※測定用光源
②人工太陽照明灯:SOLAX XC-100AF
③一般LED(Ra80):SH-80NLED(泉州電業㈱製)
④高演色蛍光灯:FL20SN-EDL昼白色(東芝製)

上記のグラフは、各光源の分光分布を示したものです。ご覧の通り、自然太陽光と人工太陽照明灯は、分光分布が酷似しており、続く一般LEDと高演色性蛍光灯とは大きく異なることが分かります。

光源の分光分布が異なるということは、物体に照射した際の反射光の分光分布も異なる、つまり「同じ物体でも光源によって違った色の見え方をする」というわけです。

光の波長と色の関係

光源に含まれる波長は、波長の長さによって色が異なります。波長が短いほど紫色に近い寒色系の色になり、波長が長いほど赤色に近い暖色系の色になります。また各波長には補色があり、例えば紫色をよく吸収する物体は黄緑色を反射するため、黄緑色の物体に見えます。つまり、分光分布を見てどの波長が多く含まれているかを調べれば、その光が何色に見えるかが分かるということです。

まとめ:色の見え方の違い

同じ光源でも物体によって色の見え方は異なります。物体がどの色を吸収しやすく、どの色を反射しやすいかによって同じ光源に照らされていても異なる色に見えます。また、同じ物体でも光源によって色の見え方は異なります。これは光源に含まれる光の波長の割合及び物体からの反射光に含まれる光の波長の割合が変わってくることが原因です。

「正しい色」とは?

ここまで読んでいただくと「では、結局ただしい色とは何か」という問いにぶつかると思います。

この問いに答えるには「正しい光の下で見た色が正しい色だ」という定義が必要になります。国際照明委員会では、色を見るための照明の基準としてD65光源とA光源を一次標準光源として定めており、この標準光源の元で見た色が正しい色、と定義づけされています。

人工太陽照明灯は二次標準光源(D55)に近いですが、日本国内において自然太陽光はD55が一般的で、日本では色を見る標準光源=自然太陽光≒D55という常識が一般的です。そして、D55に極めて近い光源が人工太陽照明灯なのです。

補足:光源の基準はアメリカ西部(シリコンバレー)の企業や研究機関が中心になって定められました。アメリカ西部、つまり砂漠地帯の非常に乾燥した地域では、日本などの湿気の多い地域よりも空の青さが強く、より青みの強い高い色温度(6500K相当)の光を自然光と定義していると思われます。

因みに、自然太陽光といかに近いかを表すファクターとして、色温度、演色評価数があります。しかし、この2項目がそれぞれ自然太陽光に近い(色温度であれば5000~6000K、演色評価数であれば100に近い)数値であったとしても、それだけでは不十分で、高演色性蛍光灯で色が正しく見えないのは分光分布が自然太陽光と大きく違うことがその理由なのです。

これらのことから、人工太陽照明灯は「色を見るための自然光の代替光源として使用できる」とお客様から認めて頂いており、これが40年近くお客様にご愛顧いただいている理由です。セリック株式会社では、太陽光に極めて近い光源である「人工太陽照明灯」を取り扱っております。ご興味のある方はぜひ以下の製品ページもご覧ください。

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最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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