夏になると日焼けが気になる方も多いと思います。しかし、今回は人の日焼けではなく、素材や材料の紫外線による影響、太陽光が当たることによっておこる化学変化の話題です。
一般的に紫外線劣化試験で使用される光源はキセノンランプが多いです。このキセノンランプから放出される光にはUV-A(315-400nm)、UV-B(280-315nm)、UV-C(280nm以下の波長域)が含まれています。キセノンランプからの生の光を照射することで、屋外暴露(実際に屋外にさらして状態の変化を確認する方法)よりも早く劣化するので、急いで紫外線劣化試験の結果を出さなければならないケースでは有効です。
大気の層にはオゾン層というものがあります。このオゾン層がUV-CとUV-Bの一部(280-300nm)を遮断するので、地表には300-380nmの紫外線のみが到達します。
UV-Bの一部(300nmより波長の短い紫外線)とUV-Cはオゾン層により遮断され、地表には到達しません。しかしこの領域の紫外線は物質の劣化をより早めるため、この領域の紫外線を照射することは促進劣化試験にはとても有効です。キセノンランプからの生の光にはこの領域の紫外線が含まれるので、促進劣化試験用としてキセノンランプは最適と言えます。
しかし屋外暴露試験の代替試験としてはどうでしょうか?
地球上の自然界では存在しない紫外線照射では、屋外暴露試験との整合は取れないはずです。
すでに促進劣化試験と屋外暴露試験の相関性を確立しているのなら良いのですが、そうではない場合は屋外暴露試験が必要ではないでしょうか。加えて、紫外線だけでなく赤外線も一緒に照射される促進劣化試験装置もありますが、この場合、劣化の原因が紫外線なのか赤外線(熱)なのか、判断が難しいケースもあります。
ましてや、光触媒など自然太陽光による光反応試験であれば、促進劣化試験用光源装置では正しい反応が得られず、自然太陽光の分光特性に近似している屋外暴露試験用光源の使用は必須です。
筆者は若い頃(セリックに入社する前)、日焼けは日差しの熱さが原因と思っていました。もちろんそれは筆者の間違った認識で、今は日焼けの原因が紫外線であることは存じ上げておりますし、一般的な知識として皆さんご存じと思います。
なぜ、ここでこのような事を書いたかと言うと、様々な暴露試験において、紫外線だけ照射すればいいというのは間違いなのでは、と思うからです。実際に、屋外暴露に相当する光源装置をご要望されるお客様の中には、紫外線だけでなく熱も対象物に照射したい、というご要望も多く頂きます。
つまり、暴露試験装置の放つ照射光は、紫外から赤外まで広範囲の波長帯をカバーする必要があるケースがある、ということです。
紫外線による分子構造の破壊に加え、熱による膨張なども劣化の原因になることもあり、そのような紫外線と赤外線の両方を照射できる光源装置の需要は高まっています。
これを実現できるセリックの光源装置は、下記の2機種があります。
☆紫外線+可視光線+赤外線照射
→人工太陽照明灯 SOLAX XC-500LFSS ※照射範囲:φ100㎜
☆大面積+紫外線+可視光線+赤外線+長時間照射
→耐光試験装置 SML-2Kシリーズ ※照射範囲:□300㎜
AM1.5相当の光を4時間照射すると、1年を通した1日の平均日射量に相当する、と言われています。
つまりここでご紹介する2機種はいずれも直射太陽光と同等の光(AM1.5)に相当する光を照射でき、照射できる範囲の大きさによって機種が選定されます。
仕様・性能については下記ページをご覧ください。
屋外の光環境に極めて近い光で耐光試験、促進劣化試験、光反応試験をしたい、とお考えでしたら、ぜひ、分光特性を公開しているセリックの人工太陽照明灯・耐光試験装置をご検討ください。お客様のご要望、ご予算にあった装置をご提案致します。
ぜひ、お気軽にお問合せ下さい。