教えて!「太陽先生!!」

紫外線の影響で塗装が変色? 宇宙空間の太陽光を再現してガンダムを照らしてみました。

【第13回 ガンダム(宇宙環境再現)】

宇宙空間の太陽光の強さは、地球上に届く太陽光と比べとても強い光です。
そのため、宇宙空間の光環境にさらされる人工衛星などは、事前に地球上で宇宙環境を再現した様々な試験を繰り返し行います。

そこで今回は、ガンダム(フィギュア)に宇宙空間の太陽光を高精度で再現した「宇宙太陽照明灯 形式:XC-500HFSS」の光を照射し、宇宙空間の太陽光によるガンダムの変化を実験してみました。

実験:フィギュアのガンダムに宇宙空間の太陽光を再現して照射

実験方法は、暗い部屋の中でガンダムに向けて、宇宙太陽照明灯(形式:XC-500HFSS)の光を累計18日間、実験期間中は消灯せずに24時間連続で下記条件の光を照射し続けました。

<実験方法>
使用機種:  宇宙太陽照明灯 XC-500HFSS
照射対象物: ガンダムフィギュア(材質:プラスチック)
試験方法:  暗い部屋の中でガンダムに向けて、下記条件の光で宇宙太陽照明灯を照射
照射条件:  宇宙空間の太陽光(エアマスゼロ/AM0)の放射照度1367W/㎡
       宇宙空間の太陽光(エアマスゼロ/AM0)の分光特性(ISO 15387対応)
照射期間:  2024.1/23~1/30、一時中断、5/7~5/16 全18日間(累計432時間)

結果:宇宙空間の太陽光を浴びたガンダムの塗装が劣化・変色

下の写真は、実験終了後に宇宙太陽照明灯を照射したガンダムと照射していないガンダムを並べて撮った写真です。比べてみると、照射していないガンダムに比べ、照射したガンダムは表面の色が変わっていました。

(左)宇宙太陽照明灯を照射していないガンダム (右)宇宙太陽照明灯を照射したガンダム

(左)宇宙太陽照明灯を照射していないガンダム (右)宇宙太陽照明灯を照射したガンダム

左側が宇宙太陽光を照射していないガンダム、右側が宇宙太陽照明灯を18日間照射したガンダムです。
白い箇所は黄色みを帯びてきており、赤い箇所や黄色い箇所は色が落ちているように見えます。

要因:塗装が変色した主な原因は、宇宙空間における紫外線の影響

なぜこのように色が変わるのでしょうか?

これは、太陽光から発せられる紫外線が影響しています。太陽光には紫外線が含まれており、紫外線がプラスチックに当たると化学反応を引き起こします。この化学反応が今回ガンダムの色が変わった主な要因です。

ご存じの通り、私たちが住む地球の上には大気圏という地球を取り巻く大気の層があり、その大気圏の外側は宇宙空間です。

この大気の層の中にオゾン層というものがあります。このオゾン層がUV-CとUV-Bの一部(280-300nm)を遮断するので、地表には300-380nmの紫外線のみが到達します。

画像引用「NASA」WEBサイトより

しかし、宇宙空間の太陽光は大気を通過しないため、減衰がありません。そのため、波長の短い紫外線を多く含み、かつ地表よりエネルギー量の多い光となります。(大気圏のすぐ外で測定される太陽光の強さを表す指数を「太陽定数」と言い、この太陽定数の放射照度は約1平方メートル当たり1367Wです。ちなみに地表に到達する真夏時の直射太陽光の放射照度は約1000W/㎡(1SUN)と言われています)

今回の実験では、大気圏を通過しない宇宙空間の太陽光を再現して実験しました。この大気圏を通過しない領域の紫外線は物質の劣化をより早めるため、短い時間でもガンダムの色が明らかに変化したという結果になりました。

宇宙太陽照明灯は宇宙空間の太陽光を再現するので、宇宙環境を模擬した様々な影響再現試験が可能です

この宇宙太陽照明灯は、宇宙空間の太陽光を高精度に再現するため、宇宙空間の太陽光による様々な化学反応再現試験や衛星用部品の耐光性試験に適しています。

また、紫外線だけでなく、可視光線や赤外線領域も宇宙空間の太陽光を再現しているので、衛星用太陽電池の簡易評価や衛星用カメラの画質評価、材料の温度上昇・遮熱性試験などにも使用いただけます。

宇宙太陽照明灯の詳細については下記ページをご覧ください。
https://www.seric.co.jp/product/xc500hfss/

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