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太陽先生の豆知識「太陽フレアと2025年問題」

先日某TV局のバラエティ番組で、太陽フレアの事を取り上げていました。その番組の中である出演者の方が「2025年に2週間程度、携帯電話が使えないなどの通信障害が発生する」と言っていました。これを聞いて私が心配してしまった事は、通信障害が起こるという事ではなく、間違った情報発信がされていたという事です。なので今回は、太陽フレアとその影響について述べたいと思います

まず、太陽フレアについて簡単にご説明します。

太陽先生の豆知識「太陽フレアと2025年問題」

太陽フレアとは、太陽の黒点周辺で発生する大爆発現象のことです。太陽フレアには等級があり、大規模なフレアだと威力は水爆の10万個から1億個と同等であると言われる、それこそ「天文学的」な規模の爆発です。

太陽には活動の周期があり、次に太陽が活発化するのが2025年頃ごろと予想されており、この時に太陽フレアが増えると見込まれています。

その爆発に伴い、電波やX線の他、電子や陽子などの電気を帯びた素粒子が飛び出し、衝撃波として地球に接近し、突然の磁気嵐を起こします。細かな説明は参考文献や他のサイトに譲るとして(“太陽フレア”で検索すると、様々な説明サイトが見つかります)、ここではNICT(情報通信研究機構)のワーキンググループが発表した“最悪のシナリオ”の1部をご紹介します。

・船舶無線や航空無線など短波帯の電波を用いる通信に多大な支障が生じる
・防災行政、消防、警察、タクシー、列車無線等に多大な支障が生じ公共サービスの維持が困難になる
・携帯電話システムは“昼間の時間帯”に最大数時間程度のサービス停止が2週間にわたり“断続的に”発生する。
・位置情報を計算する測位システムが通信障害により、精度の大幅な劣化が2週間にわたり“断続的”に発生し、最大数十メートルのずれが生じる。その結果衝突事故が発生する。
・電力系統の保護装置の誤作動が発生、広域停電が発生する。
※NICT(情報通信研究機構)のワーキンググループが発表した“最悪のシナリオ”より抜粋

私たちの日常生活に支障をきたす、安全が脅かされる事態になりかねない、というレポートです。

ここで私が強調したいのは、一部の障害は「断続的」「昼間の時間帯」である、ということです。冒頭にお話したテレビ番組では、さも“2週間の間連続して”障害が発生するようなニュアンスで話されていたので、誤解を与えてはいけないと思って本編で取り上げました。

上記の“最悪のシナリオ”はまさに最悪の場合で、確実に起こるとは誰も言っていません。最悪にはならないケースだって当然考えられます。

だから備えなくて大丈夫ということではなく、最悪な事態を想定して備えておいて被害が結果的に軽ければそれはそれで良いと思います。例えば、スマホで支払いできなくなる障害に備えて現金を用意しておく、などは私たちでも準備できることです。

規模が小さい太陽フレアは結構頻繁に起こっていて、電波障害があると情報を顧客に送れないなどの障害対策をサービスとして展開している企業もあると聞きます。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では毎日宇宙天気予報を発表していて、ビジネスに活用している事業者も多いそうです。

<参考文献>
・宇宙天気予報(Youtube NICTchannel)
https://www.youtube.com/watch?v=PqbNGIXqc9M
・宇宙天気の警報基準に関するWG報告:最悪のシナリオ(宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000811921.pdf
・宇宙の星雲、惑星など、ワクワクする楽しみ方
https://utyuu-tanosimu.net/

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